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琴欧洲引退。

 33代木村庄之助が、自著『力士の世界』で、「引退の近い力士の目からは光がなくなる」と書いている。今場所の琴欧洲はまさにそんな感じだった。
 各所で紹介されているが、琴欧洲はヨーロッパ勢のパイオニアと呼んでも差し支えないだろう。彼が入幕し番付を上げていった2004年、05年は朝青龍の絶頂期で、メディアも無敵の横綱への最有力対抗馬として注目していた。ただ、スピード出世の後は怪我に苦しみ、最近はカド番を繰り返すことが多かった。

 大関陥落2場所目の3月は、初日こそ白星だったが、相撲に力がなく、新聞には「やる気をどこかへ置いてきてしまった」と書かれる始末。長年務めた大関を陥落し、力の衰えは隠せなかった。気持ちとしては「もう一花」と念じていたと思うが、心に身体がついていかなかった、というところだろうか。

 しかし、大関を陥落しても長く土俵を務めた元大関は少なくない。近年では貴ノ浪や雅山・出島などがいた。貴ノ浪はきめ出しや河津掛けなどの豪快な取り口で根強いファンがいたし、雅山は白鵬と幕内最高優勝を争い、大関再昇進も射程にとらえる活躍を見せた。出島は平幕下位まで番付が下がっても腐らず、三賞も受賞した。

 さらに、琴欧洲は元大関魁皇の現役最後の取組相手でもある。引退の際は、怪我に悩まされても土俵に上がり続けた魁皇を尊敬し、労うコメントを出していた。こうしたことを思えば、一ファンとしてもう少し力士・琴欧洲を見ていたかったという思いを禁じ得ない。

 しかし、怪我の痛みや相撲への思いなどは琴欧洲以外の人間の想像が及ぶところではなく、この期に及んでの叱咤は慎むべきだろう。引退会見で見せた涙は、志半ばで去る悔しさもあっただろうが、真摯に相撲と向き合い、努力を積み重ねた者であればこそ流せたものだったと思う。

 一時期ほどの勢力はないが、現在の佐渡ヶ嶽部屋には今場所手負いながら2横綱に土をつけた大関・琴奨菊、初の小豆島出身関取・琴勇輝がいる。有望な若手も多い。今後は親方としてさまざまな経験を伝え、彼らを育てて部屋を盛り上げていってほしい。本当にお疲れさまでした。
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